タイガー&ドラゴンは毎回、登場人物が交代で高座に上がってオープニングトークを担当します。
私はT&D(濁点の多い洋服ブランドのことではなく、タイガー&ドラゴンのことです)が大好きなので、今回はドラマのオープニング風に始めてみたいと思います。
~~~
「え~、つっけんどんな態度の人のことをいつからか”ツンデレ”なんて言いますが。
(ツンドラのことじゃありませんよ。スネオヘアーのアルバムにあった? アンタ、何のこと言ってるんだい?)
この”ツンデレ”が『大っ嫌い』と言った場合、何故だかそれは『大好きっ』ってことになるんですね。
嫌いが、好き。
何だか、裏と表が逆んなってて、どっちがどっちだかわかんなくなりますね。
(え? このセーター、こっち表にして着るやつなの? もう、気づかないで良かったのに! あえてですよ、あえて。オシャレでこうやって着てるの。わかんないかなぁ)
今回はそんな、嫌いが好きになっちゃう話。
はいっ!タイガー&ドラゴン」
第2話 あらすじ
今回の落語は「饅頭怖い」。
とても有名な噺です。
林屋亭どん太(阿部サダヲ)は、雑誌の”抱かれたくない男”ランキングで1位をとってしまいます。
落語で精進するのが厳しいため、テレビの世界で顔を売って稼いだら、その結果が抱かれたくない男ナンバーワン。
どん太は落ち込んでいました。
落ち込んだどん太を助けるべく、虎児と竜二はある計画を立てます――。
登場人物
■林屋亭どん太(阿部サダヲ)
どん兵衛(西田敏行)の長男で二児の父親。
落語はぱっとしないため、リアクション芸人として主にテレビで活躍している。
が、汚れ役のため抱かれたくない男1位に選ばれてしまう。
本名は谷中竜平、竜二(岡田准一)の実兄。
妻の鶴子(猫背椿)は「泣いて国際通りⅡ」がヒットした元演歌歌手。
■日向純一(宅間孝行)
新宿竜星会の若頭。ひゅうがさん。
組長(笑福亭鶴瓶)の娘と結婚せず、18才のギャル(松本まりか)と結婚する。
メールはギャル文字。
■寿子(松本まりか)
日向さんと結婚する18才のギャル。
どん太の大ファン。
饅頭怖いについて
友人たちが集まってくだらない話をしているところへ、遅れた男がまっ青になって飛びこんできた。
聞くと、途中で蛇が出てきたのでびっくりして走ってきたという。
どんな大蛇かと尋ねると、ほんの30センチばかり、しかもよく見ると蛇でなく古縄だったとのこと。
赤ん坊のころから長い物が苦手で、鰻やドジョウ、そばやうどんも怖いらしい。
一同、そんなこともあるのかと感心し、それをきっかけに自分の怖いものは何かという話になった。
ナメクジが怖い、蛙が怖い。オケラにアリ、クモにナンキン虫。
なかには女房みたいに自分を蹴るから馬が怖いなんてやつもいる。
ところが松公の番になると、急にケンカ腰のタンカを切り始めた。
「黙って聞いてりゃ、馬鹿じゃねえか」
松公は「クモやナンキン虫ぐらい食ってしまう」と豪語する。
蛇だってはち巻きがわりに使うなどと、他の全員をコテンパン。
普段から兄貴風を吹かせているだけに、言いたい放題。
他のやつが、それでも一つぐらい怖いものがあるだろうとしつこく言うと、
松公「じつは饅頭が怖い」と打ち明けた。
皆はアンコの入った饅頭が怖いなんてと大笑い。
松公が嫌がるものだから、図に乗っていろいろな饅頭の名前を並べたてた。
唐饅頭、栗饅頭、そば饅頭。
そのうちに松公の顔色が変わってきて、具合が悪くなった様子で「ちょいと横になっていいかい」と、布団をかぶって寝てしまった。
友人たちは松公が寝ている間に饅頭をたくさん買ってきて、彼をこらしめてやろうという話に。
様々な饅頭を松公の枕元へ並べ、声をかけた。
起きあがった松公は饅頭の山を見て泣きだす。
してやったりと皆は大喜び。
ところが、よく見るとどうもおかしい。
「なるほど怖い。やっぱり怖い。おお怖い」
松公は泣いているふりをしながら、うまそうに饅頭をパクついているのだ。
たくさんある饅頭の残りを風呂敷に包もうとまでしている。
ここでサゲ(噺の落ち)。
松公にだまされたと気づいた一人が「いったい本当に怖いのはなんなんだ」と言う。
松公「へへ、ここらでいいお茶がいちばん怖い」
※参考文献『古典落語100席』選・監修者:立川志の輔(PHP文庫)
タイガー&ドラゴンの饅頭怖い
こちらについてはここで書かずに、DVDやParavi(パラビ)などのサイトで実際に視聴していただきたく存じます。
決して、文章を書き疲れたからじゃあ、ございませんからね。
ドラマの中では、松公を阿部サダヲが演じます。
寿子(松本まりか)があの独特なヴォイスで「どん太、嫌ーい!」と言えば言うほど、披露宴はどん太の独壇場となっていくところが見どころです。
第2話では、人の欲が描かれます。
・虎児とメグミがラブホでヤッちゃう
・いい年した日向さんが18才のギャルと結婚する
・他人に嫌われたくないどん太
また、この回はとっても印象に残る名セリフが2つありました。
メグミ「虎ちゃんと竜ちゃんって、タイガー&ドラゴンだよね」
もう一つは虎児(長瀬智也)が竜二(岡田准一)に向かって言ったセリフです。
「落語も親子も経験ねえからよ。今オメエの親父から勉強しているとこ」
欲=好きなものを見つけた虎児は、真っ直ぐに進んでいきます。