オブリガード!
そう言いたい。
こんなに面白いドラマを提供してくださって。
(第四話は物語にかなり大きな進展があるので、以下、未見の方はドラマを見てから読んでいただくことをおススメします)
「4話から面白いアニメはよくあるが、4話からさらに面白くなるドラマは珍しい」
これはいま考えた俺の持論です。
「観山寿三郎(西田敏行)が『蒲田行進曲』の銀ちゃんなら、寿限無(桐谷健太)は『カラマーゾフの兄弟』のスメルジャコフじゃない?」
いまちょうど読んでるんです。
ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』。
全5巻の光文社古典新訳文庫で3巻に入ったところです。
俺の本の話です。
いつからか、若い人たちのことをミレニアル世代とかZ世代とか呼ぶようになりました。
Z戦士じゃありません。
彼/彼女らはたぶん、スーパーサイヤ人にはなれません。
最近テレビでたびたびZ世代という言葉を耳にするようになって、どこか大手の広告会社とかがその言葉を流すように動いているのかな――なんて思ったりします。
Z世代が何世代なのかはあまりよくわかりませんが(わからないから、何かしら名称を付けるのでしょう)、「俺の家の話」の登場人物である長田大州(なにわ男子の道枝駿佑)は今どきの高校生。
伝統ある能一家に生まれた自分と、ストリートダンスを踊る自分。
大州(ダイスと読みます)は、家のしきたりとやりたいことの間で葛藤を抱いているようです。
ってか、ちょっと脱線していいですか。
道枝クン、イケメンすぎませんか!
こんな子が同じ高校にいたらもうっ――惚れて舞うやろーー!
※能・ダンスなので”舞う”にしてみました
「いつだって大州しか見ていない」
でもそれじゃあ、ドラマがよくわからなくなってしまいます。
その役は大州の母親役である江口のりこさんにお任せしましょう。
能の稽古に来ない大州を池袋まで迎えにいったマコト――じゃなくて観山寿一(長瀬智也)。
彼らは大州の父(ロバート秋山)が経営する店でラーメンを食べます。
経営者として、従業員へスープの味のダメ出しをする大州の父、ラーメンが好きではない彼はこう言います。
「ラーメン好きなやつは、ラーメン好きなやつの気持ちしかわからない」
父親のこの言葉が大州の胸に響きます。
子どもによる能の披露会とダンス大会が重なった当日、大州は能から逃げて、自分のやりたいダンスの大会に出場しました。
大州は能一家の縛りからうまく逃げることができましたが、逃げられない子どももいます。
芸養子の寿限無(桐谷健太)です。
第四話では芸養子の寿限無が実は観山寿三郎(西田敏行)と女中さんの間にできた子だったことが明かされます。
寿一たち兄妹は寿限無が異母兄弟であることを知り、大きなショックを受けます。
師匠が実の父親であることを知った寿限無の心情は、はかり知ることができません。
「大人は判ってくれない」
「子どもだってNO」
子どもが大人・親に心を開いてくれるには、どうすればよいのでしょうか。
何とか世代とか名称を付けて安心する前に、もっと見てあげる・話を聞いてあげることが、何より大切だと思います。
(そうしたワードがコミュニケーションの役に立ったなら、それはとても良いことだと思います)
そして何より、大州に向かって「貴重だけどな、お前みたいなやつ」と寿一が言ったように、経験を積んだ大人が言葉をかけてあげることの大切さ。
「俺の家の話」第四話では、それを見せてくれました。
一方、子どものほうも大人や親に歩みよるのを諦めないでいてほしいと思います。
「逃げるのも才能だよ」と言った寿限無が、実の父親である寿三郎や寿一たち兄妹にどう接していくのか、第五話からの展開が楽しみです。