以下、過去の記述より。
※ネタバレを含みますので、お気をつけください。
カッコ内は私が見た日付です。
アニー・ホール
(2011/3/14)
ウディ・アレン演じる「死」という強迫観念を抱え15年間セラピーに通う主人公と時々 神経過敏になる歌手アニー・ホールの恋愛物語。
ウディ・アレンの映画を始めて観た。
大変面白いが、「知的」過ぎる。
インテリジョークの数々。
映像美などの点は群を抜くほどではないが、言葉、モノローグのセリフ、一気に時間軸を進めたりカメラに向かって(=映画鑑賞中の者に)話すある種SF的(メタ的、か?)とも言えるシーンは素晴らしい。
上手くいかなくなった二人は、やがて恋人同士でなくなった。
バナナ
(2012/6/1)
独裁政権を揶揄したコメディ作品。
主人公はウディ・アレン演じる、何をやっても人並み以下、上手にできない大学中退の青年。
ウィットにとんだユーモアというより、動きでのわかりやすいギャグが多く面白い。
主人公は何故か、独裁政権のトップにまでのぼりつめてしまう(なりゆきで)。
終盤、主人公夫婦のセックスをボクシングの試合みたいにTV放送する場面がシュール。
泥棒野郎
(2012/6/19)
ウディ・アレン監督・主演作品。
監督第一作らしいのだが、最初から自身の手法を理解しスタイルを確立しているのは凄い。
ワルの環境で育った大馬鹿で、勿論「何をやってもうまくいかない」人物が主人公。
銀行強盗しようと試みるが、字の綴りが異なるために失敗して捕まるシーン、鎖でつながったままくっついて脱走する6人のシーン、彼女のブラホックが全然外せない演技、毎回メガネを踏み潰される場面等、笑える内容。
スリーパー
(2012/6/23)
ウディ・アレン監督・主演作品。
生きたまま病院で眠りつづけ、100年後の世界で目覚め”させられた”男が主人公。
エイリアン扱いされる主人公は、メイドロボットになりすましたりして逃げる。
科学技術の進歩や理想的な政治、宗教なんかよりも”信じられるのはセックスと死だけだ”――ラストのセリフが印象的。
ウディ・アレン作品の主人公はダメでどうしようもない男ばかりだが、恋愛・セックスに関してはいつも機会にめぐまれている、気がする。
インテリア
(2012/6/24)
本作はギャグ一切なし、シリアスな家族の物語。
ギャグをつくれる人はシリアスも余裕でつくれてしまう。
滑稽な人物に対し、その周囲の人々もそれと同等の深刻さに合わせてしまえばいいのだから。
家族の状況、人物の心情を風景、荒れた海で描いている。
ラスト、ヒステリーの母親はその波に向かって歩いていき死んでしまう。
ウディ・アレン、こういうのも製作してしまうのも凄いが、わかりやすいコメディの方が好き。
マンハッタン
(2012/7/2)
ウディ・アレン監督・主演作品。
理論ばかり口にするインテリたちを否定する主人公は、あるがままの感情をもっと出して生きようとする。
ウディ・アレンは、作品のテーマに深く関わるシーンでシルエットをよくつかう気がする。
TVの仕事を辞め(Quit)た後、金がない中「一年間ガンジー的生活をすれば生きていける」といったセリフなど、基本的にはコメディ。
で、全編モノクロ。
※この日の記述には、以下のメモがありました。
≪「GAP」←レンタル店の、が閉店してしまったため、もうあそこに行くことはない。》
一人暮らしだった頃の近所のレンタルショップが閉店してしまったようでした。
ウディ・アレンの重罪と軽罪
(2012/7/10)
恋や欲望、学ぶことや生きること、日々の生活を通して何を感じ何をすべきか少しばかり考えさせられる作品。
人生に数多く存在する「選択」の機会、それらの総決算が人生となり、そこに愛を見出し努力することが大切だというラストの言葉には感心。
「笑い」というのは”悲劇+時間”のセリフも興味深い。
「まる一年セックスをしていない日がヒトラーの誕生日だ」のセリフは笑った。
それでも恋するバルセロナ
(2012/7/12)
ラブストーリー、のジャンルにある作品。
自身の生き方を定めてしまう女と自由に生きる芸術家志望の女がバルセロナで、自由な画家アントニオと恋をする。
スペインの街並みはやはり美しく、ただあるだけで絵になる。
その場の感情やなりゆきだけの恋愛は、どうやらうまくいかないようだ。
何度も流れるテーマ曲の歌詞とギターが心地良い。
マッチポイント
(2012/8/30)
ウディ・アレンは、一般大衆へ上流階級の生活を見せつける輸入業者だ。
が、縁のない金持ちの人生や恋愛を、下層民の自分は楽しんでいる。
婚約者と不倫相手の間でどっちつかずの態度をとりつづけた主人公は、心から愛していた不倫相手を猟銃で殺害してしまう。
罪の意識を抱え、生活をしながら、テニスでネットにあたったボールがどちらのコートに落ちるかわからない人生を彼は生きていくのだろう。
作中、女から受け取ったグラスの中身を飲みほさずに残すシーンが数回目についたが、あれは何かを示唆しているのか?
セレブリティ
(2013/1/5)
スーパーモデルや映画俳優等、美男美女のセレブ達、はちょっと違う世界にいるよ、って話。
主人公の映画脚本家(小説家)は「セレブリティ」にふりまわされ続ける。
それに対し、主人公と別れた妻は一躍セレブの仲間入りを果たす。
その違い(差)は、運か?
バナナでフェラチオの練習をしている最中、ノドにつまれせてヤバくなったり、所々のギャグは笑える。
さよなら、さよならハリウッド
(2013/1/6)
主人公の映画監督ヴァンをウディ・アレン自身が演じている。
大作の監督を依頼された主人公は、心身症により盲目となってしまう(物語のラストで治る)。
一時的に視覚を失った結果、彼は別れた元妻の美しさを思い出し、「ハリウッドにさよなら」してパリへ。
バルセロナやパリ、ロンドンと近年のウディ・アレンは本当にハリウッド以外が舞台の作品ばかり。
「HOLLYWOOD ENDING」というのは、彼のメッセージでもあろう。
人生万歳!
(2013/1/10)
「人生の意味は……”無意味”」
そう考える天才主人公(ノーベル物理学賞に近かった男)の老いた人生を描く。
家出娘を居候させることになった主人公。
アホで月並みな彼女との出会い、生活を通して、主人公は”予期せぬこと”を学んでいく。
何でも知っている(ような)天才でも、「偶然」や「化学反応(的)」出来事の前では、無垢な子どものようになる。
「全体像を見て」いる主人公がカメラに向かって話す演出が面白い。
ミッドナイト・イン・パリ
(2013/11/23)
過去の芸術を讃える主人公(オーウェン・ウィルソン)は、真夜中のパリからその過去にタイムスリップ。
憧れの文学者フィッツジェラルドやヘミングウェイ、ピカソなどの芸術家が生きる時代に行けて、主人公は満足。
だが、タイムスリップを重ね、現在との錯誤などもあり、主人公は内省。
ただし、過去での恋愛に溺れつつ。
だが、主人公が選んだのは――過去を経たから在る――現代の趣味が合う女の子だった。
「黄金時代」を探せばきりがなく、雨の降るパリの都が一番なのだ。
【本】エリック・ラックス『ウディ・アレンの映画術』
(2014/9/6)
600ページを超える本。
35年以上に渡るウディ・アレンへの継続的なインタビューをまとめた作品。
偉大なる映画監督は、発想力(アイデア)に富み、多数の作品を作りあげる実行・実現力に優れている。
クラリネットを演奏し芸術の知識が深く、何より人々が求めている笑いを生みだすことができる。
好きな映画を語っている部分は興味深い。
そして、これだけのインタビューを行った著者に脱帽。