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【映画】北野武 監督作品の感想

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アウトレイジ最終章 映画

以下、過去の記述より。
カッコ内は私が見た日付になります。
※ネタバレがありますので、未見のかたはお気をつけください

アウトレイジ

(2011/9/19)
タイトル通り”極悪非道”な作品。
傑作。出演者も超豪華。

ヤクザの世界で、誰かの小さないざこざやどちらかの面目なんかのために殺して殺して殺しまくる。欲望や不条理の連鎖。で、最後に残るのは生き残るためリスクを減らし上手に立ち回った者たち。

世の中の仕組み、が描かれている気がした。無駄な描写がなく、常に面白いシーンばかり。

水野役の椎名桔平が格好良すぎ。
『アウトレイジ2』なるものを制作中らしく、ぜひとも観たい。

みんな~やってるか!

(2012/9/9)
世界のキタノ作品。
ビートたけしとして出演もしている。

セックスすることだけが目標の主人公。
カーセックスするために車を購入したり強盗したり役者やヤクザになったり、真っすぐに生きている(犯罪は気にかけないが、死ぬおそれがあることだけは避けている。死んだら、セックスができないから)。

……と思ったら後半、内容ががらっと変わる。

主人公は透明人間になり、ハエ男になり、しまいにはハエ男として退治されてしまう。
意味不明のストーリー。
だが、この作品は面白い。

3-4×10月

(2012/9/17)
サンタイヨンエックスジュウガツ。

作中に行われる野球に関するスコアのようでもあるし、「4x」は最終回に勝ち越した、とも受けとれる(もっと色んな意味が含まれていそうだし、想像できるが)。

かなり面白い。
「軍団」の方々、出まくり。

シリアス、ギャグ、ストーリー、どれも良い。
で、石田ゆり子は可愛い。

代打で見逃し三振していた寡黙な主人公の青年は、その時々の心情と行動によって生きていく。

その男、凶暴につき

(2012/9/23)
ビートたけし主演。
権力や暴力、カネや才能など、様々にある”力”が描かれている。

主人公の刑事は暴力に特化した男。
ラスト、障がいのある妹を主人公が撃ち殺すシーン。
兄である自分がいなくなり生きていくことが困難な妹はこれから生きていっても果たして幸せか逡巡している場面に代表されるように、作中で語らずとも観る者に考えさせてしまうつくりが素晴らしい。

かなりシリアスな作品だが、ギャグも入っている。

あの夏、いちばん静かな海

(2012/9/27)
ごみ回収業の勤務中、折れたサーフボードを拾ったことからサーフィンに目覚める聾唖の男と彼に寄り添う同じく聾唖の彼女の夏物語。

波に乗る男を女はいつも砂浜で待つ。

耳が聴こえないからこの作品では当たり前だが、他の作品でも、北野作品の男女には常に「静」の雰囲気、「静」の時間が漂う。

静かでゆっくりとしたこの作品、久石譲の柔らかい音楽が合っている。
(ビートたけしは出演していない)

菊次郎の夏

(2012/10/4)
主演、菊次郎役はビートたけし。

「菊次郎の――」と言うよりは小学生「マサオの――」と言ったほうが正しいかもしれない。
が、この作品を『菊次郎の夏』としたことが観る者を魅了させる因となる。

菊次郎は、”少年のような心を持つやんちゃ”な男と思われるだろう。
が、子どものマサオよりはるかに自由にみえる彼には、大人のルールがまとわりつく。
金や法律・規則、社会とどうしてもぶつかってしまうから、他人から迷惑がられ、ヤクザにボコボコにされてしまう。

菊次郎の無邪気さと(母親からの)愛を求めるマサオとの間に芽生える愛とも友情ともつかない――愛も友情も嫌悪や面倒くささも含む何か、か――温かさに感動。

久石譲のテーマ曲が世界を包む。

ソナチネ

(2012/10/11)
ビートたけし主演。
暗闇の中での主人公の「影」、車が通る「道」また車の「行先」、そんなことが主題に感じた。

スコールで濡れた女が服を脱ぐと、「そうやって、簡単におっぱい見せちまうんだから、すげえよなぁ」と主人公のヤクザは言う。

(男が)求めているものを簡単に与えてしまう。
――自分には(殺すことはできても)何かを与えることはできない。
と、そんな意味のセリフに感じた。

珍しく、寺島進が真面目な役。

HANA-BI

(2012/10/18)
ビートたけし主演。
非常に切ない、凶暴な主人公と死が迫っている病気の妻(岸本加世子)、夫婦の物語。

主要人物たちには、常に虚無がつきまとう。
その虚無から逃れるために、夫婦は旅をし、撃たれた男(大杉漣)は絵画をはじめる。

廃タクシーをパトカーに改造し(世界一静かな)銀行強盗をする主人公。
失った家族を描く男は、深い悲しみを忘れようとするかのように、玩具を与えられた子どもみたいに映される。

彼らと子どもが異なる点は、彼らはその楽しみは必ず終焉を迎え、再び虚無と隣りあわせになることを知ってしまっていることだ。

作品に登場する、たけしのアート。
発想が面白い(自決)。
音楽は久石譲。

Dolls

(2012/10/25)
登場する3組の男女は、心や身体、精神を病んでいる
――悪い言い方をすれば「何かが欠けている」者ばかり。

主役の二人(菅野美穂と西島秀俊)を結ぶ赤い紐が象徴するのは、欠落部分を補い合い、二人で(ようやく)一人、ということだろうか。

何かどうしても、「海外を意識(したニッポン)」している感じがして、そこが嫌い。
静かで、悪くはないが。

キッズ・リターン

(2012/11/1)
冒頭、寄席の漫才から始まり、ラストでそこに結びつけていく構成、珍しくはないが良い。

教師からは馬鹿馬鹿と呼ばれ、だらだらと過ごす不良少年二人組(金子賢・安藤政信)が、自分にとっての何かを見つけよう、つかもうとするエンタメ作品。

ラスト、自転車に二人乗りしながらのセリフ。
「まぁちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかなぁ」
「まだ、始まってもねえよ」
挫折して苦汁を味わった二人は、少しだけ強くなって、いる。

座頭市

(2012/11/4)
ビートたけし主演。
わかっていたけど、やはり面白い。

この時代劇では、現代の言葉づかいやタップダンス等の違和があるが、一番おかしいことは「市」の髪型だと思う。

金髪(で盲)(盲のフリをしている)の主人公の強さは異常だ。

普通の悲しみを背負っただけの剣客(浅野忠信)では、ビートたけし演じる、この神様・異端者・救世主には絶対に敵わない。

TAKESHIS’

(2012/11/5)
主演は北野武とビートたけし。
ホトンドイミガワカラナイ……って、カタカナになるのはゾマホンの真似、って訳ではない。

表の世界とifの世界、ふとしたときの空想が混ざりあって、なんて言葉では説明できない。
冒頭の軍隊のシーンは一体何だったの?

監督・ばんざい!

(2012/11/11)
北野武監督が様々な映画を撮ろうと試みる
――つってオムニバスから始まり、やがてSFみたいな奇想天外な展開に。

作中に登場し続けるタケシ人形は殴られ蹴られ水に沈められ首を吊って……と、様々な苦痛・困難を受け続ける。

「全てを一蹴する」って感じの作品。

同時収録『素晴らしき休日』(モロ師岡が出演)は、3分のショートムービー。

アキレスと亀

(2012/11/21)
ビートたけし演じる主人公が、芸術に明け暮れる物語。

主人公・真和寿(まちす)の芸術は、決して他人に認められることがない。
が、彼はアートをつくり続ける。
それが「楽しい」とか「認められたい」でなく、もはや生きることが描くことになっている。

主人公の妻だけが、彼の芸術に理解を示し、共に「芸術」作品をつくっていく。
一度は離れた妻の、ラストシーンで「帰ろう」のセリフ、ここは温かい。

BROTHER

(2012/12/2)
ビートたけし主演。
中学のころ一度観たが、やはり面白い。

「ファッキンジャップくらいわかるよ馬鹿野郎」
など、印象的なセリフがあるのは、北野映画に特有のセリフの少なさのためだろう。
所々でセリフが際立つ。

兄弟分を重んじる主人公・山本(ビートたけし)の「心意気」のようなものは、アメリカ人のデニーの心に響く。

社会にうまくとけこめず、絶えず抗争に身を置く主人公・山本。
かなり綿密にキャラクターが描かれている。

アウトレイジ ビヨンド

(2013/10/24)
続編。
大友(ビートたけし)は(生きていて!)刑務所から出所。組の抗争は関西の組も巻きこんでいく。

「ビヨンド」と題にあるように、前作『アウトレイジ』で描いた社会の構造は拡がりをみせる(ナンバー2の石原(加瀬亮)が金をどんどん得て政界にも進んでいるように)。

面白いが、拡がりをみせる社会構造をじっくりと描いていなかった点は惜しまれる。

アウトレイジ 最終章

(2017/10/8)
韓国フィクサーの組織にいる大友(ビートたけし)。大友はヤベえ奴だが、彼が殺すのは必ず(義理を重んじるなどの)理由がある。

最終章で行動を共にした市川(大森南朋)だけは、かつての水野(椎名桔平)や木村(中野重雄)と異なり、他の人間からの恨みやいざこざから遠ざけることができた。

死、終。

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