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【本】ジャン=フィリップ・トゥーサンの本 の感想

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以下、過去の記述より。
カッコ内は私が読み終えた日付になります。
(どうしてこの作者の本を読んだのか、おぼえていません。。。薄くて読みやすそうだったからか?)

浴室

(2011/1/14)
浴室で生活する男を描いた、全3部短い50章以上の断片で構成された作品。
と思ったら、男は物語が始まって少し経過するとあっさりと浴室から出てしまう。

非常に不思議な作品だが、圧倒的に面白い。

台所で”タコ”の皮を必死に処理しようとしている二人のポーランド人が滑稽に描かれていて良い。

主人公「ぼく」と「エドモンドソン」の愛の物語でもある。

カメラ

(2011/1/14)
『浴室』のように短い章ではなく、主人公の内面、あるいは生死に関する――それはカメラで撮った写真や蝶の羽ばたきに象徴される”流動性”でもある――考察をじっくりと描いた物語。

女性のパスカルや彼女の父親や彼女の子どもピエールくんとの関係は、著者特有の「思わず好感を抱いてしまう不思議さ」で書かれている。

最後の「生きている」の一言が印象的。

ためらい

(2011/1/15)
これほどまでに中身のない、しかし決してつまらなくはない小説はあまりない。
著者の頭の中には人物設定や世界観ができあがっているのだろうか?

主人公の行動と勝手な推測、結局一度も登場することのない「ビアッジ」という人物が描かれた作品。

中身はないのに、私小説風だったり、時々サスペンス風になるのが不思議だ。

主人公の子どもの何気ない行動が、愛くるしい。

ムッシュー

(2013/1/2)
独特の文体と間(空白)。
フランス人作家の作品。

主人公は「ムッシュー」。
「ムッシュー」とは、日本語の「〇〇さん」や「Mr.」のような敬称だ。

若くてそこそこ稼ぎもあり、恋や子守りをそつなくこなす「ムッシュー」。
この何でもできてしまう「ムッシュー」は――「ムッシュー」という名だからこそ――普遍的でもあるし、逆に顔のない(実体を持たない)人間のようでもある。
何だか、長嶋有みたいな作品に感じた。

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