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【本】村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』感想

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以下、過去の記述より。
カッコ内は私が本を読み終わった日付です。

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■村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(2013/6/18)
『1Q84』以来の書きおろし作品。
勿論ベストセラー、母親から借りた。

大学二年の夏、主人公の多崎つくるは、高校時代付き合っていた親友たちのグループから突然”きられる”。

「色彩を持たない」とは、5人のグループのうちで「つくる」だけ色がないこと(他の者はアカ、アオ、シロ、クロと名前に色が入っていた)、彼の性格や行動が単純を好むことによる。

突然”きられた”つくるは、死んだような日々をなんとか乗りこえ、30才を過ぎた彼はかつての親友たちに会いに行く(彼のガールフレンド沙羅の後押しによって)。

「色彩を持たない」ことは人として損なわれた状態ではないと思う。
主人公は――彼の名前の通りに――駅をつくり、他の人間とうまく話をすることができる。

ただ、一度絶望の海に浸かってしまった者は、どんなに「普通に」「単純に」「うまく装っても」、何か心の欠片を失くしたような感覚――それは無意識レベルでの喪失だ――は残ってしまうのかもしれない。
特に、他の誰かと親密になるほどソレは顕著になる。

何にしても、多崎つくるくんは親しみを抱けるキャラクターに違いないが。

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