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【本】桐野夏生『OUT』感想

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以下、過去の記述より。
カッコ内は私が読み終えた日付です。

OUT(上)

(2010/11/26)
90年代後半にベストセラーとなり、たしかドラマ化もした作品。

夫を殺した主婦と同じ弁当工場で働く主婦達の4人が死体をバラバラにして捨てる話(←ざっくりだな)。
読みやすいし、面白い。

作品に漂う暗い感じや主人公・香取雅子が抱える閉塞感(?)が、直接の文章と言うより雰囲気としてしっかりと描かれている。

登場人物が少しばかり多いとも感じたが、一人一人の描写と他の人物とのほんの小さな微かな繋がりが緻密に構成されているため、特に苦にはならなかった。

OUT(下)

(2010/12/3)
下巻は佐竹の復讐が描かれる。

雅子と佐竹のやりとりや思惑・会話を興味深く読ませる文章。

死体を弁当工場の食材と同一だと認識し、十文字からの斡旋で死体解体の”仕事”をこなしていた雅子が、殺そうと考えていた佐竹の頬にメスを刺したときに佐竹という男の全てを理解し、自分と佐竹は”同じ”であることを知る場面が印象的だった。

著者の他作品も読みたくなった。

OUT(映画版)

(2011/3/8)
桐野夏生原作の同名小説の映画化作品。

あまりに原作が良かったから、映画の方はつまらないと決めてかかって観たが、十分に面白かった。
“OUT”してしまう中年女性4人の虚無感や悩み、強欲などが滲みでている。

冒頭では、主人公の香取雅子の芯から揺るがないある種の気丈さ、が若干感じられなかったが少し経つとそれは解決した。

「師匠」が佐竹を殺してしまい、残りの3人は逃亡する――というのが原作とは異なった。

佐竹役の間寛平がかなり素晴らしかった。
もっと佐竹の出番があってもいいと、少し思った。

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