以下、過去の記述より。
カッコ内は私が読み終わった日付です。
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■角田光代『対岸の彼女』
(2017/9/12)
直木賞受賞作品。
人は、自分の考えや思いを100%そのまま他人に伝えることはできないし、たとえテレパシーが可能でも他人の思いを全て理解することはできない(歩んできた人生や生活環境が異なるから)。
というか、他人の思いなんて、ほんの少しでも分かったなら幸運で、全く理解できないか、「分かったつもり」になることしかできないのだろう。
それでも、たまたま出会った人や何故か興味を抱いた人と話したり笑いあったりしたいと願うのは――川の対岸が輝いて見えることがあるように――自分のことを知ってほしくて、相手のことも知りたいからだ。
主人公の小夜子と葵の関係(友情)は、決していつまでも続くものではない。
ただ、人は誰かと”交流”しなければ、変わることはできないと思う。