《「未来の混雑」を地図で表示》という新聞記事を見た。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210123-OYT1T50290/
《地図大手ゼンリンは、数分から数か月後といった将来の人の流れを予測し、地図上に表示する技術を事業化する。2021年度から鉄道やバスなどの交通事業者への提供を始める。混雑を予測して人混みを避ける移動ルートの提案もでき、新型コロナウイルス対策としても活用が期待される。》
さすが、地図のゼンリン!
未来×地図という見出しが、新鮮だ。
未来の混雑を避けるって、まるでSFのキャラクターにでもなったかのよう。
技術の進歩は素晴らしい!
ところで、テレビやラジオを視聴していて、近ごろでは、お笑い芸人さんが「この世界線じゃ〇〇」とか、「今の時間軸では~~」などと言うのが、たまに耳に触れる。
(芸人さんは、独自の表現とか空気を読んだ言葉というのを使いたがる。
「芯食った話」(話の内容が重大で、核心に触れていることらしい)
「ガワ」(見てくれや体裁のことらしい)のように。
そうした言い方――内輪のノリを披露するような言い方――は好き嫌いがわかれるだろうが・・・って、今はそんなことどうでもいい。)
この世界線とか時間軸という言葉は、あったかもしれない世界や未来について言っていて、例えば、以下のような感じで使用されている。
芸人A「俺、お笑い芸人じゃなかったら、めっちゃイケメンのモデルになってたと思うんだよね」
芸人B「いや、お前の顔じゃムリだわ! 別の世界線行かないと!」
みたいに使用されている。
『君の名は』『まどマギ』『シュタインズ・ゲート』などなど、タイムリープや可能世界を題材にしたアニメ作品の流行などもあり、あったかもしれない世界や別の未来という想像力が、多くの人々に認識された結果だと思う。
様々な世界・未来という描き方は、フィクションと――特に、色々なキャラが登場し、攻略していく恋愛シミュレーションゲームと!――相性が良い。
『進撃の巨人』では度々「選択」というキーワードがでてくるが、あらかじめ未来の地図が表示できるなら、その選択はより良いものになるに違いない。
新聞の記事には《未来地図によって最適な移動ルートの提案が行え》ると書かれている。
現在33才、無職――
私の白地図にも、最適なルートを表示してほしいと、切に願う。
・・・・・・
――「あれ? 何だこれ?」
文章を書き終えた私は、足元に一枚のメモを見つける。
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過去の私へ
ちょうど今ごろ、お前は「未来地図」というタイトルの文章を書き終えて、このメモを目にしているだろう。
今回もいい感じで文章を締めることができたと、ドヤ顔――おっと、これも芸人さんたちが好む言葉だな――をして、な。
33才 無職? 私の白地図、だと?
お前はもう少し、考えたほうがいい。
もう一度言うぞ? もう少し、考えたほうがいい、と。
あん? まだわからないのか? この愚者めが!
(おっと、過去の私に対して、これは失礼だな)
――未来の地図は、どうやって予測される?
そう、過去のデータの蓄積・現状予定されているスケジュール等によって、未来が予測されるんだよ。
過去の私よ。
お前が言う「白地図」にはもうすでに、色がついているんじゃないか?
過去の私より過去の私の行動や思考の積み重ねによって、な。
未来の私(地図を見た者)より
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