「ママ~、チョコエッグにするぅ」
まいばすけっとでの買い物中、そばにいた男の子(5、6才くらい)が、店の奥で品物を見てまわる母親に言った。
(まいばすけっとは、都内を中心?に展開されているAEON系列のスーパーマーケットとコンビニの中間規模のお店です。多くの方が「まいばす」の略称で呼んでいるだろうと個人的に思っています)
「チョコエッグはダメ!違うのにしなさいッッ!!」
選んだそれが否定される声音を聞くと、少年はほんの少し虚空を見つめた後、もう一度お菓子の棚を眺めた。
「じゃあ、チョコボールにするぅ」
しばらくしてから少年が言った。
真横にいる私など、いないかのように言った。
「チョコボール?・・・よし!オッケー!」
少年と母親は店の端から端まで離れているため店中に声が響くが、私の他に客はおらず、誰も意に介す者はいない。
少年が棚からチョコボールを手に取り、母親のもとへ小走りする。
「エッグ」・・・・・NG
「ボール」・・・・・OK
この差は一体何だろうか?
・オモチャ付きだから
・お菓子のカテゴリーじゃない(と思う)から
・好きなメーカーじゃないから
色々と理由は想像できるが。。。
母親からチョコエッグを否定されて虚空を見つめた瞬間。
理不尽とも言える壁が立ち塞がり、自身の望みが届かないことを知らされたあの男の子は何を思ったのだろう。
電子マネー支払いによる犬の鳴き声だけを残して、私は店を去った。
少年の手に握るそれに、金色の天使がいることを祈りながら。