こんなニュース記事を見た。
【独自】自走ロボの無人配送、公道利用OK…「非対面」の宅配需要が後押し
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6384360
《政府は、公道での自動走行ロボットを使った無人配送を2021年度中にも解禁する方針を固めた。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、非対面での宅配サービスの需要が高まっているためだ。
慢性的な人手不足が続く物流業界の支援につなげる狙いもある。》
《自動車や歩行者との衝突などの事故にも配慮する必要があることから、ロボットの大きさや速度なども法令で定める方針だ。
具体的には、1回に数十キロ・グラムまでの荷物を収納して運べるような規模を想定している。
速度は、人が歩くのと同程度の時速約4~6キロとする方向で調整している。》
”自動車や歩行者との衝突などの事故にも配慮”
”速度は、人が歩くのと同程度の時速約4~6キロ”
それなら安心だろう――多くの人はそう思うかもしれない。
だが私は、時速約4~6キロの車と接触事故を起こしたことがある。
あれは……上戸彩が鶴本直の役(イエスタデイ→トゥモロー)で『3年B組金八先生』に出演していたときだから(どんな思い出し方だよ)、私自身も中学3年生のときだった。
まさに15の夜、自転車で英語塾に向かっている途中、悲劇は起きた。
私は元来、”道端で見合った状態”が苦手だ。
向かいから人が来たときなど、右に避けるか左に避けるか、相手とカブってしまって、あっすみません(汗)
そんなことが、しょっちゅうある。
避けるのが下手すぎて、見知らぬ相手から「ざけんなよ!」とドラマ『キッズ・ウォー』みたいなことを言われるのもしばしば。
その夜は信号のない十字路で、自転車の私と左から来る車が、見合った状態になった。
学園ラブコメなら運命の二人が出会う瞬間かもしれないが、膠着が苦手な私はキョドっていた。
~二人の出会いから初めてのタッチまで~
①十字路の手前、左からの車を確認した自転車の私がブレーキをかける。
②左側から来た車が、自転車の私が停まっているのを確認し、停止。
③私「どうぞどうぞ」と車に行くよう、ジェスチャーで示す
④車、停まったまま。自転車の私に先に行くよう、ライトをパッパッと点灯。
⑤私、進まず。車に向かって先に行くよう、再度ジェスチャー。
⑥車、停まったまま。再度ライトをパッパッと点灯。
⑦キョドる私、なかなか発進せず。車も停まったまま。
⑧キョドった私、ようやくペダルをこいで発進。
と、同時に車もゆっくりと発進して私に接触。
※⑧のBGMは、カーペンターズ「イエスタデイ・ワンス・モア」のサビを流してください。
あらためて思う。
これは私がいけない。
ダチョウ倶楽部のように、どうぞどうぞと道を譲っておきながら、いざ相手が行こうとしたときに自分が行っちゃうって。
そんなの、寺門も肥後も絶対にやらないだろう。
車との接触により、私は膝を負傷。流血。
(幸い軽症で、縫うほどのケガではなかった。)
相手の車の運転手は、接触した後すぐに降車して丁寧に謝ってくれ、しかも病院に行こうとまで言ってくださったが、自分が悪い悪いと思い込んでいる私は、それを拒否。
お互いに和解して解決とさせていただいた。
軽傷だったため、私はそのまま自転車をこぎ、やがて英語塾へ到着。
先生の自宅でもある塾で、マキロンを膝にかけ流し、大きめのバンソウコウを貼ってもらった。
あんなにゆっくり進んでいたのに、車って危ないんだな。
人が歩くのと同程度の時速約4~6キロでも、ケガを負うことがある――15の夜に身をもって知った。
ただし、人間社会で道を進むのが極端に下手で、ダチョウ倶楽部のネタの締め方をきちんと知らない人間の場合だが。
ニュース記事に戻る。
《自動配送ロボットは、自動運転の技術を応用しており、カメラの画像や全地球測位システム(GPS)の位置情報などから交通状況を認識し、信号や障害物などにも対応できる。
遠隔でオペレーターなどが動きを監視することで、安全面にも留意する。》
自動運転などの技術は着実かつ早急に進歩している。
この記事にあるロボットたちが事故ることは――ましてキョドることは――ないだろう。
どうせなら、向かいから歩いて来た相手をうまく避けられる技術も、テクノロジーの進化でどうにかならないだろうか。
切に願う。