今まで『罪と罰』を読まないでいましたが、初めて読みました。『『罪と罰』を読まない』は、読んだことがありません。
以下、過去の記述より。
カッコ内の日付は私が読み終わった日です。
私は岩波文庫、江川卓さんの名訳で読みました。
『罪と罰』はミステリーやスリリングな要素を多分に含む小説です。(だからこそ、事前知識や読解力に乏しい私でも楽しく読み進められました。)以下、ネタバレを含みますので、未読のかたはお気をつけください。
罪と罰(上)
(2021/1/4)
上中下の一冊目。
古典の名作だが内容も知らず、かろうじて主人公ラスコーリニコフの名前を聞いたことがあるくらい。
でも、だいぶ楽しんで読めた。
元学生のラスコーリニコフが、酔いどれの元官吏と酒場で出会い(彼はやがて馬車に轢かれて亡くなる)、金貸しの婆さんと(たまたまそこに居合わせた)婆さんの妹を殺害する。
で、熱・病気に襲われて、殺人後の苦悩などが描かれて――というのが(上)の大まかなストーリー。
登場人物の名前が中々覚えられず、何度も目次のあたりにある登場人物一覧を見ながら読んだ。あと、ロシアの特徴なのか似たような名前が多く紛らわしい。
訳注をあわせて読んでいると、キリスト教のモチーフがかなり含まれているらしく、ラスコーリニコフの中に悪魔が入っているという解説は興味深かった。
ただ、主人公の殺人の真の動機については、いまいち理解しがたい。
罪と罰(中)
(2021/1/8)
殺人の罪を犯した後のラスコーリニコフ、母親と妹、友人、妹の婚約者(弁護士)、判事や警察署の面々たちが描かれる。
あとソーニャ。
読んでいて思うのは、主人公ラスコーリニコフは二人の人間を殺害して――しかもその内の一人は殺すつもりでなく、たまたま現場に居合わせたために殺された――、そのことを悔いてはいないのかという点。
熱病に冒されたり、苦悩する様子は描かれるが、あまり反省は感じられない。
と書いていて思ったが、自分で計画して実行した行為を――しかも、それが人の命を奪うこと、世間に知られたら罰が与えられることだからこそ尚更――簡単に後悔することなど、できないのかもしれない。
すがる者を求めたラスコーリニコフがソーニャを同一視し、恋慕のような感情を抱く――あるいは彼女(聖書の言葉を読んでもらう彼女)を神聖視する――のは、必然なのだろう。
罪と罰(下)
(2021/1/19)
読了。
まだ解説までは読んでいないが、その前に(他者から知識を入れられる前に)感想を書いておいたほうがいいはず。
ラスコーリニコフはスヴィドリガイロフの自殺を知り、一度出た警察署のそばでソーニャの顔を見た後、自身の罪を告白する。
そしてエピローグ。
ラスコーリニコフとソーニャは愛を(何と言えばいいのか)”得る”(”与えられる”では違う気がする)。
在る?
場所の隔たり、(罰としての)時の拘束――そうしたものは枷ではなく、ただ愛が、信頼が二人を包んでいる。
結末が悲しいものでなく、ほっとした。