以下、過去の記述より。
カッコ内は私が見た日付です。
少年と自転車
(2014/3/20)
ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ監督・脚本・製作。
「ホーム」という施設に預けられている少年シリル。
父親に見捨てられたシリルは、美容師のサマンサに里親になってもらうことになる。
中と外――
室内でホームの先生に諭されたり、父親から「来るな」と言われ、屋外では(父親からもらったであろう)マウンテンバイクを乗りまわす、とにかく走る(赤いTシャツが落ち着いた街並みに映える)。
社会のしきたりや抑圧(中)、どこまででも疾駆できるような世界(外)の対比が印象的。
だが、大人になる・成長するということは、中でも外でも常に生き続けていくということだ。
シリルとサマンサが川沿いを自転車で走るシーンが美しい。
サマンサという独身女性は、どうして血のつながらないシリルに母性を与えられるのだろう。
(里親になってと)「あなたが頼んだからよ」
彼女はそっと言う。
ある子供
(2014/4/9)
観ている途中、気分が悪くなったのは、若者の姿が生々しかったからか、それともカメラが固定されておらず常にゆらゆらしているような映像だったからか。
ラストシーン、泣きじゃくる若夫婦の二人は、ラストではなくこれから、「始まり」を示している。
息子のまなざし
(2014/4/12)
実の息子を失った主人公(台詞は少ないが、演技が素晴らしい)は少年たちに木工を教える仕事をしている。
主人公の学校(訓練学校?)に息子を殺した少年が来る。
主人公は様々なわだかまりを抱えながらも少年に技術を教えていく。
許す/許さないといった解決などはないこと――
「お前が殺したのは私の息子だ」と少年に言った後、主人公と少年は揉み合い、一緒に材木を運び、ラストシーンでは材木を覆うシートを主人公が締めようとするシーン(少年は主人公の息子を絞め殺した)でぶっつりと終わる。
内なる葛藤を抱え続け、良心や赦しを時には感じつつも、憎悪が湧きあがる瞬間もある。
そうした中で、この主人公は――息子を殺した少年がいる世界で――生きていく。