以下、過去の記述より。
カッコ内は私が見た日付です。
ニュー・シネマ・パラダイス
(2014/4/8)
映画のための映画は、イタリアの作品。
(作中、新年を迎えて物を投げるイタリアの風習が描かれる)
「ニューシネマパラダイス」は人々に娯楽を提供する映画館。
フィルムのセットなどは、主人公のサルバトーレ(通称トト)が行う。
映画技師。
子ども時代、アルフレードとトトの友情。
若者時代、最愛の女性エレナとの出会い、恋。
そして大人になったトト。
映画は喜怒哀楽の様々な感情あるいは色々なジャンルがあるが、それら(を見ること)は人生の一つの側面でしかない。
この作品では、前述のことを示しつつ、トトの人生も描ききっている。
良作。
シチリア!シチリア!
(2014/4/16)
ものすごく濃密な作品。
政治、文化、戦争、家族(家族の描きかたが本当に素晴らしい)、マフィア、市井、貧困、宗教、右、左、ゆでたまご(の殻)、畑、少年、青年、老人……
”全て”を描こうとしている。
ときに重く、且つユーモアのある軽妙さを保ちつつ。
「世界を抱えたいのに、腕が短い」
終盤の主人公の台詞は、作品内とメタレベル双方でとても的を射た言葉になっている。
前者は共産主義、後者はあらゆる要素を描こうとした映画として。
壮大な人生を展開した直後、それは主人公の少年の夢であったとされる。
輪廻や転生、未来を知ってしまった少年。
彼の住む地球というコマの中で、ハエ(人)は生き続ける。
久しぶりにすげえ映画に出会って、驚いている。
嬉。
海の上のピアニスト
(2014/4/21)
航海を続ける客船、その船で生まれ船に乗り続けているピアニストの”1900”(ナインティーンハンドレッド)。
原題は”THE LEGEND OF 1900”。
海の上でピアノを弾くことが生きることである1900(実にいい呼び名)。
彼のピアノは――火のついていないタバコのように――時間の流れを止めてしまう。
そして、1900は自分が生きた船の中で――時が流れ続ける陸(外)の世界を拒むように――死をむかえる。
自由奔放な伴奏演技とともに流れる、ピアノ曲が良い。
音楽はエンニオ・モリコーネ。
※後に聴いたサウンドトラックも最高だった
題名のない子守唄
(2014/5/3)
主人公はウクライナ出身の女性。
売春とそこで孕んだ子を売る組織に”いさせられた”彼女は、”黒カビ”という組織のボスを殺しかけ、逃亡。
やがて自身の子(実際は違ったが)であるテアの家の家政婦になり、彼女はテアと親密な日々をすごす。
倒れたら一人で立ち上がり、やり返す勇気――
主人公の信念はすごい。
ラストシーン、刑期を終えた主人公をむかえに来たテアは、成長した姿で優しく微笑む。
作品のタイトルが軽やかに、そして重く響きわたる。